第2章: 自分だけのサーバーを手に入れる
第1章では、サーバーが私たちの身の回りでどのように活躍しているか、そしてサーバーOSとしてLinuxがなぜ優れているかを簡単に学びました。
さあ、ここからが本番です!理論はもう十分。実際に手を動かして、インターネットの広大な世界に、あなただけの「土地」を手に入れましょう。
この章を終える頃には、あなたは世界中のどこからでもアクセスできる、自分だけのサーバーの「住所(IPアドレス)」を持っているはず。
なぜ、自分のサーバーが必要なの?
「家のPCじゃダメなの?」と思うかもしれません。私は家の余ったPCでサーバー運用をしています。このサイトも、家のサーバーです。 もちろん、家のPCでもサーバーを動かすことは可能です。しかし、世界に向けて安定してサービスを公開するには、いくつかの大きな壁があります。
- 24時間365日、電源をONにしておく必要がある。
- 家のインターネット回線のIPアドレスは頻繁に変わる可能性がある。
- セキュリティ対策をすべて自分で行う必要がある。
- 電気代がかかる。
IPアドレスに関しては、固定IPであれば心配はありませんが、その他の点は悩みどころだと思います。
そこで私たちは、これらの問題をすべて解決してくれる「サーバー専用のコンピュータ」を月々数百円でレンタルすることにします。
サーバーの種類、どれを選ぶ?
サーバーをレンタルするには、いくつかの選択肢があります。アパート探しに似ていますね。
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レンタルサーバー(共有サーバー)
- 一つの大きなサーバーを、複数の住人で共有するイメージ。「シェアハウス」のようなものです。
- 長所: 安くて簡単。
- 短所: 自由度が低い。OSをいじったり、好きなソフトを自由に入れたりはできません。
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VPS (Virtual Private Server)
- 一つの大きなサーバーの中に、仮想的にあなただけの「個室」を用意してくれるイメージ。「賃貸マンションの一室」です。
- 長所: OSを自由に操作(root権限)でき、価格と自由度のバランスが最高。
- 短所: 共有サーバーよりは、少しだけ設定の手間がかかる。
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クラウドサーバー (AWS, GCPなど)
- 必要な分だけ、水道や電気のようにリソース(CPU, メモリ)を借りられる超高機能なサービス。「自分で土地を買って、設計図から家を建てる」イメージです。
- 長所: 究極の柔軟性。世界的な大サービスも作れる。
- 短所: 非常に多機能で複雑。料金体系も従量課金制で、管理を誤ると高額になることも。
私たちは「VPS」を選ぶ!
この教材では、VPSを選びます。 なぜなら、**「OSレベルから自由に触れる」「料金が手頃で定額」「インフラ学習に最適」**という、私たちの目的にピッタリの選択肢だからです。
いよいよ契約!VPSを申し込んでみよう
世の中にはたくさんのVPSサービスがあります。ConoHa WINGやXserver VPSのような国内サービス、VultrやDigitalOceanのような海外サービスが有名です。安い国内VPSであれば、Web ARENAや、KAGOYA VPSあたりがいいでしょう。
まあどの道最初はどのサービスを選んでも学習内容はほとんど変わりません。
一般的な申し込み手順は以下の通りです。
- プラン選択: 一番安い、月々500円〜1000円程度のプランで十分すぎます。
- サーバーの地域: 「東京」や、あなたがいる場所から一番近いデータセンターを選びましょう。
- OSの選択: **「Ubuntu Server」**の最新LTS版(長期サポート版)を選択します。(例:
Ubuntu 22.04 LTS) - 認証方法の選択: サーバーにログインする方法を決めます。
パスワード認証: ログイン時に使うパスワードを設定します。SSHキー認証: より安全な「鍵」ファイルを使います。(**推奨!**詳しい設定は次の章でやります)- まずは、強力なパスワードを設定して進めましょう。
全ての選択が終わったら、「作成」や「申し込む」ボタンを押します。数分待つと、あなたのサーバーが起動します。
おめでとう!これがあなたのサーバーの「住所」です
サーバーの作成が完了すると、管理画面に 123.45.67.89 のような、4つの数字が並んだものが表示されます。
これが、あなたのサーバーに割り当てられた**「グローバルIPアドレス」**です。
世界に一つしかない、あなただけのサーバーのインターネット上の住所です。 今、この瞬間、あなたの「土地」がインターネット上に誕生しました!
次回予告: 住所は手に入れましたが、まだその中に入る方法を知りません。 次回、第3章では、このサーバーに安全に接続するための「鍵」である**「SSH」**の使い方を学び、いよいよ黒い画面への第一歩を踏み出します!