第4章: 黒い画面と友達になる!Linux基本コマンド - 1
第3章で、私たちはSSHを使ってサーバーにログインし、記念すべき最初のコマンドを打ちました。 今回は、この黒い画面(CUI: Character User Interface)の世界で、自分の思うがままに冒険するための基本的な「言葉」であるLinuxコマンドを本格的に学んでいきます。
マウスとアイコンの世界とは少し違いますが、慣れればこちらの方がずっと速く、そしてパワフルにコンピュータを操作できるようになります。
1. 「場所」を移動するコマンド
まずは、ファイルシステムの「どこにいるか」を把握し、自由に移動するためのコマンドです。
pwd - “Print Working Directory”
- 意味: 「今、私はどこにいるの?」
- 使い方:
pwdと打ってEnterを押すだけ。 - 解説: あなたが今いるディレクトリ(フォルダのことです)の、絶対パス(一番上の階層からの完全な住所)を表示します。
ls - “List”
- 意味: 「ここには何があるの?」
- 使い方:
lsと打ってEnter。 - 解説: 今いるディレクトリの中にあるファイルやディレクトリの一覧を表示します。
- 便利なオプション:
ls -l: ファイルの詳細情報(パーミッション、所有者、サイズ、更新日時など)を表示します。ls -a:.で始まる隠しファイルも含めて、全てのファイルを表示します。ls -la: 上の2つを組み合わせた、非常によく使うオプションです。
- 便利なオプション:
cd - “Change Directory”
- 意味: 「〇〇に移動したい」
- 使い方:
cd [移動したいディレクトリ名] - 解説: 指定したディレクトリに移動します。これは最もよく使うコマンドの一つです。
- 特別な場所:
cd ..: 一つ上の階層のディレクトリに戻ります。cd ~またはcd: 自分のホームディレクトリ(ログインした時の最初の場所)に一瞬で戻ります。cd /: ファイルシステムの最上階層(ルートディレクトリ)に移動します。
- 特別な場所:
💡 ちょっと休憩:コマンドの構造
Linuxコマンドは、コマンド [オプション] [引数] という構造で成り立っています。
- コマンド:
lsやcdなど、実行したい命令そのもの。 - オプション:
-lや-aなど、命令の動作を細かく変えるための追加指示。 - 引数:
cd my-directoryのmy-directoryのように、命令の対象となるもの。
2. ファイルやディレクトリを「作る・消す」コマンド
次に、自分の作業スペースを作ったり、不要なものを片付けたりするためのコマンドです。
mkdir - “Make Directory”
- 意味: 「新しいディレクトリ(フォルダ)を作って」
- 使い方:
mkdir [新しいディレクトリ名] - 例:
mkdir my-projectを実行すると、my-projectという名前のディレクトリが作成されます。
touch - “Touch”
- 意味: 「空っぽのファイルを作って」
- 使い方:
touch [新しいファイル名] - 例:
touch memo.txtを実行すると、中身が空のmemo.txtというファイルが作成されます。
rm - “Remove”
- 意味: 「このファイルを消して」
- 使い方:
rm [消したいファイル名] - 警告:
rmコマンドで消したファイルは、ゴミ箱には入らず、二度と元に戻せません! 使う時は慎重に。- ディレクトリを消す場合:
rm -r [消したいディレクトリ名]を使います。-rは「再帰的に(中身も全部)」という意味です。
- ディレクトリを消す場合:
3. ファイルを「移動・コピーする」コマンド
cp - “Copy”
- 意味: 「AをBという名前でコピーして」
- 使い方:
cp [コピー元ファイル] [コピー先ファイル名] - 例:
cp memo.txt memo_backup.txt
mv - “Move”
- 意味: 「AをBに移動して」または「AをBという名前に変えて」
- 使い方:
- 移動:
mv [移動したいファイル] [移動先のディレクトリ]- 例:
mv memo.txt my-project/
- 例:
- 名前の変更:
mv [古い名前] [新しい名前]- 例:
mv memo.txt important_memo.txt
- 例:
- 移動:
次回予告:
基本的なコマンドはマスターできましたね!
しかし、今の私たちはまだ一般ユーザー。サーバーの設定を変えたり、新しいソフトをインストールするには、**「管理者」**になる必要があります。
次回、第5章では、最強の権限を手に入れるための魔法の言葉 sudo と、ソフトウェアを管理するための apt コマンドについて学びます!